早い時期から、噛み合わせの矯正を
大人は、食べたり歯を磨いたりするときに、自分の歯の異常を感知することができますが、お子さんの歯のことは気が付きにくいものです。お子さん本人も、なかなか口の中の細かいことにまで意識が向かないでしょう。
お子さんの歯について一番気をつけて欲しいのは「噛み合わせ」です。もちろんむし歯のチェックも大事ですが、こちらは学校の歯科健診や自覚症状でむし歯に気づき、治療を始める方が多いのです。しかし、噛み合わせに関しては、親御さんもお子さんもなかなか気付きません。将来、お子さんが健康な生活を送るためにも、早めに噛み合わせをチェックし、必要に応じた治療をしていきましょう。
お子さんの噛み合わせチェックリスト
お子さんにこんな傾向はありませんか?
- 普段、口が開いている
- 口呼吸をしている
- 出っ歯など、明らかに歯並びが悪い
- 顔が歪んでいる
お子さん本人は「噛み合わせが悪いから歯医者に連れて行って」と言える程の自覚症状がないことがほとんどです。是非、親御さんが気を付けてあげてください。
3歳から始める乳歯の矯正
お子さんの矯正を始めるのに最適なタイミングはいつでしょうか?
実は、きれいな歯並びのためには、生え変わりが始まる5歳くらいまでの時期に、永久歯が生えてくるためのスペースを確保しておくことが重要です。
乳歯は、一見きれいに生えているように見えても、実際は永久歯が生えるためのスペースが足りていないケースもあります。この状態では生え変わり後に噛み合わせが悪くなり、20代30代になってから身体の不調に繋がる恐れがあります。
また、厚生労働省によると3歳児検診では約4〜5万人(約4~5%)の子どもが反対咬合(受け口)に該当し、早期の治療が重要です。
当院では、一般的な歯科医院と比べてかなり早めの3歳から矯正を実施しています。これまでは、永久歯が生えそろってから矯正治療をする傾向にありましたが、今は予防処置として乳歯の位置を治すことができるのです。
乳歯の矯正のメリット
お子さんへの負担が少ない
寝る間だけ装着するマウスピースや、取り外し可能な矯正器具を使用するため、お子さんの負担が少なくて済みます。
費用が安い
乳歯の矯正にかかる費用は、永久歯が生え揃ってからの矯正と比べて1/2〜1/4で済みます。マウスピースだけなら10万円程度が目安です。
お子さんの健やかな成長に繋がる
早めに矯正しておけば、顎や噛む機能の発達が促され、脳の発達にもつながります。また、噛み合わせ・歯の健康・発音などに悪影響を及ぼす反対咬合は、自然に治る可能性は低いため、早期の治療が重要です。
マウスピース矯正 <対象年齢:3〜5歳>
「ムーシールド」という特殊なマウスピースを使った治療です。寝ている間だけ装着して、反対咬合の改善を図ります。
反対咬合は舌の位置が低く、下顎を前に押し出すように筋肉の圧力が働きます。そこでマウスピースを装着して舌の位置を上げ、口周りの筋肉を正常化するのです。上顎の成長を促し、下顎の成長を抑える効果が期待できます。
一般的に、約半年~1年で効果が現れ、約9割近くの患者さんに改善が見られます。
床矯正 <対象年齢:5〜8歳>
マウスピースだけでは症状が改善しない場合、装置を使って歯を内側からゆっくり動かし、顎を広げる床矯正を行います。
床矯正装置は、基本的には寝ている間も含めて1日中つけておきます。しかし入れ歯のように取り外しが可能なので、食事中や歯みがきをする時などは外しておけるので便利です。
床矯正は大人には使用できず、成長期のお子さんだけに使える矯正方法です。早いケースでは、床矯正だけで1年未満で終了するケースもあります。
また、矯正治療の手段は装置だけではありません。歯を支えているのは骨であり、噛む時に動かしているのは顔の筋肉です。歯の健康のためには、食べる際にどの歯で噛むかといった歯の使い方も、とても大事なことです。
当院では、単に器具を装着するのではなく、お子さんに「よく笑って、よく喋って、よく噛んで」と指導するなど、生活習慣などにも視点を置いた歯のケアをしています。